バオバブの樹とは?対外活動
講演活動の目的

講演活動の目的~わたしたちが伝えたいこと~

「通常学級にたくさん存在しているのになかなか気づかれない、理解されない、発達性ディスレクシアのこどもたちのことを、もっと多くの人に正しく知ってほしい!」

当事者のSくんと伝えることを始めたのは、Sくんが中2の時、今から8年前です。当時は私たちが主催で「こどもの応援団になろう!講座」を開いていました。夜の有料の講座にいらして下さっていたのは、とても熱心な先生方で、その時のご縁が今に繋がっています。

 ここ数年で、一番伝えたい「学校の先生」から講演に呼んで頂くことが増え、「当事者として学校の先生に自らの体験を伝えたい」と思ってくれる若者たちもたくさん育ってくれていて、メンバーはその時により入れ替わりますが、基本いつも5人の若者たちと一緒に、講演活動を行っています。
5人の若者たちと一緒に行くのには、理由があります。「発達性ディスレクシア」と一口で言っても一人一人、読み書きの苦手さの様子、感じ方は違っていますし、ディスレクシアの他にどんな特性を持っているかで、読み書きの苦手さの状態も支援のあり方も変わってきます。現場の先生方には、そのことをリアルに感じて欲しいのです。彼らが語る事で、学校の先生方は、教室で人知れず苦しんでいるこどもたちの存在に気づいて下さったりします。

この講演活動は、気づかれず人知れず苦しんでいるこどもたちのためでもありますし、語る若者たちの未来のためでもあります。講演活動は誰でもがすぐに参加できるわけではありません。語るためには、自分の状態を客観的に理解している必要がありますし、自分の体験を人に伝えたいというモチベーションが大事です。毎回積み重ねてきた個別相談の中での話し合いを通して、いけそうかも!と思った子に声をかけます。そしてまた更に準備していきます。

 この活動は、私が1人で伝えるより、準備の面などで大変なこともたくさんありますが、彼らの伝えるパワーは素晴らしく、私1人よりもずっとずっと現場の先生の胸に深く届きます。講演当日、他の子が語るのを聞くことで、自分との違い、共通点を知り、彼ら自身の理解がまた深まります。毎回発見があり、私にとっても大事な学びの時間です。何より、可愛い彼らとの活動はとても楽しいです。

 発達性ディスレクシアと共に生きていく彼らの未来が、少しでも今より明るいものであってほしい、彼ら自身がそれを切り開いていける強さを持ってほしい、そのための活動という意味合いの方が私の中では大きいかもしれません。

言語聴覚士 沖村可奈子